第7回
12月 15th, 2011 • 技術情報 • No Comments »7-1. Blackfinをサポートしました
BlackfinのBF518FはIEEE1588アクセラレータ:TSYNCを内蔵したCPUです。
個性的ですが、IEEE1588の利に適っているアクセラレータでした。
今回はOSをLunixで挑戦したのですが、やはり面白い特徴が出ました。
Slaveの通信開始では、Masterが配信する時刻で自身の時刻を初期化します。
初期設定が終わると、次回からMasterとの時刻偏差からクロック・レートの調整となるのですが、この初期化処理時間がLinuxだと大きく揺らいでしまうので、同期開始から同期確立までの時間が安定しません。同期が 確立してしまえば、1μ秒以下(数100ナノ秒オーダ)で安定します。
Blackfinはファンも多いので、時刻同期を使用したい方は、とても有効な機能と思います。但し、TOPPERSのような軽いOSがお勧めです。
7-2. マネージメント機能について
マネージメント機能をいれました。結構便利です。
WindowsPCをマネージャにして、組込みボードを複数台制御しています。
マネージメント機能は、TLV(Type Length Value)で規定された制御データをIEEE1588手順で通信するのですが、PCから組込みボードの通信状態がリアルタイムで分かるし、複数のボードの制御を1台のPCで制御できます。この機能でシステム検証が格段としやすくなりました。
IEEE1588機能に関心のある方々は、何かアプリケーションがあって、そこに同期を取りたい理由があるから時刻同期が必要になります。モータ制御、送電制御、測定機器などの装置は、同期した時刻(クロック)を利用するためにIEEE1588を搭載します。このため、ぞれの装置で状態認識、処理制御、測定データ等の通信が必ず発生します。当然のことですが、高精度な時刻同期だけを必要とする装置は、イーサネットである必要がありません。
マネージメント機能はこの通信データを扱えるので、アプリケーションがXML/HPPTのような高レイヤな通信機能を必要としなければ、十分にIEEE1588手順だけでシステム構築が可能になります。
7-3. タイムスタンプ
タイムスタンプ・ビジネスが立ち上がり始めています。電子承認等でタイムスタンプの時刻を保証するのですが、このシステムで1μ秒以下の同期精度が必要か? たぶん不要です。
IEEE1588はその同期精度に注目されていますが、もう一つの特徴は通信処理が簡素になっていることです。
NTPは組込みCPUで動作させるには処理負荷が大きすぎます。このため、組込みシステムではSNTPが使用される場合が多いのでが、時刻の不連続性の問題があります。
ハードウェア・アクセラレータを使用すれば、更にソフトウェア処理が軽減されるので、ネットワークを組込みCPUで構成する場合には、IEEE1588の時刻同期は非常に有効なのではないでしょうか。
高精度同期を必要としない分野にも、今後IEEE1588が採用させてゆくように思われますが、IEEE1588の正しい理解が広まることが重要と思われます。また、「ネットワークの複数装置が同一の時刻を共有する」とこで、システムの動作検証や障害解析等の分野にもIEEE1588は応用されてゆくことを期待しています。
7-4. 余談
また、半年もブログをサボってしまいました。前回「分野毎の状況を書く」などと書いてしまいましたが、IEEE1588がどうも同期精度だけに注目が集まっているように感じて、今回は同期精度以外の項目を書いてみました。とくにマネージメント機能の話しをすると、殆どの方がこの機能を知りませんでした。今回のET2011では、このマネージメント機能を中心にデモシステムを作ったのですが、好評でしたのでブログでも触れてみました。
今回のET2011ではIEEE1588のサポート・デバイスが増えたことを感じましたし、私たちのブースに来られた方々は、1年前に比べてより具体的な質問が多く、IEEE1588に興味を持たれる方が多くなったことを感じています。








